半促成アムスメロン
1. 品種 アムスメロン
メロンとしては多湿・多肥に鈍感で、つるぼけしにく い。うどんこ病やその他の病気にも強く、作りやすい。
糖度等食味が安定し、消費者に根強い人気がある。
2. 目標収量 3,000 kg/1,000u
3. 栽培のポイント
ほ場排水が重要であり、必要に応じて暗渠を埋設する。
生育初期は低温、後期は高温になるので適切な温度管理 と水管理により草勢をコントロールする。
4. 技術内容
(1) 育苗
@ 用土の準備 (ポット用土)
田土1に対して完熟堆肥1を混合する。
堆肥の代わりにクンタンを混合しても良い。
用土はpH6.5前後、EC値 0.1以下を確認する。
施肥量は床土1m3あたりN,P,Kとも250〜300g程度。
速成床土作成例(1,000リットル当たり)
材料/肥料 |
量 |
無病の田土 |
500 リットル |
完熟堆肥 |
300 リットル |
もみがらクンタン |
200 リットル |
苦土石灰 |
1.0 kg |
過燐酸石灰 |
2.0 kg |
細粒868
|
2.5 kg
|
使用する1カ月以上前に調整しておく。床土は県防除 基準に基づき消毒する。臭化メチルで消毒する場合は石 灰混合の時期に注意する。
A たねまき
播種期 2月上旬〜下旬(定植の30日前)
播種量 2,000粒/1,000u(定植本数の1.2倍)
(ア)播種方法
催芽は30℃で24時間行う(2o程度発芽)。
播種床にはバーミキュライトを使用するとよい。
覆土は、川砂を使う(転び苗防止)。
前日より加温し30℃を保つ。
播種床は、事前に十分潅水し、条間6p、深さ5oの播 種溝を切り、3p間隔でまく。
播種溝に対して種子の長径が直角になるように播種す る(双葉を並行に出させるため)。
発芽までは濡れ新聞紙をかけ、トンネルをコモで覆い 保湿する。
播種床(育苗床)
濡れ新聞紙 覆土5o(細砂) 種子
(イ)播種後の管理
播種後は床温30℃前後に維持し、発芽後は28℃位に下 げ乾燥ぎみに管理する。
(ウ)鉢上げとその後の管理
播種後8〜10日後、双葉が展開した段階で12pポットへ 鉢上げする。
移植する時はできるだけ根を切らないようにていねい に抜き取る。
また、根が直射日光や乾風当たって乾かないように注 意する。
鉢上げ時の潅水は床温よりやや高めの温水を用いて株 元が落ちつく程度の最小限とする。
電熱線温床の温度管理は
本葉2.5葉期まで:気温25〜28℃、地温20〜22℃、 本葉2.5葉期以降:地温18℃前後で徐々に順化させる。
(2) 本ぽ準備
@ 本ぽ準備
ほ場は、耕土が深く有機質に富んでおり排水が良いこ とが重要である。
地温を上げるため、定植1週間前に充分にかん水した 後、ハウスにビニールをかけ、畝全面を古ビニールで覆 い保温に努める。
A 施肥例(kg/1,000u)
肥料名 |
成 分 |
基 肥 |
備 考 |
完熟堆肥 |
|
2,000 |
施肥量はEC値に
よって調整する。
0.6以下 全量
〜1.0 半量
1.5以上 石灰のみ
|
苦土消石灰 |
|
150 |
ようりん |
0-20-0 |
100 |
CDU化成 |
16-8-12 |
60 |
硫酸加里
|
0-0-50
|
10
|
連作により苦土欠が発生しやすいほ場では、施肥量を 調整する。
B 畝立て、裁植密度(1,800株/1,000u )
(3) 定植
畝幅180pに2条の千鳥植え、株間40pとする。
植え穴は、前日にあけ十分に潅水しておく。
定植は、温暖な日を選び地表の地温15℃以上であるこ とを確認する(温度を上げるため1週間前からハウスビ ニールをかけ保温しておく)。
浅植えとし株元に砂や鹿沼土をおいて株元からの病害 の発生を防ぐ。
(4) 灌水
ポットへは十分潅水(ぬるま湯を)してから定植し、 定植直後は潅水しないことが望ましい。
定植後は、速やかにトンネル被覆して保温に努める。
定植2日目にぬるま湯をかん水しその後はなるべくか ん水しない。乾燥でしおれるような場合は鉢土と周囲の 土が馴染む程度に潅水する。
(5) 温度管理
生育ステージ |
昼 間 |
最低夜間 |
定植〜着果 |
28〜30℃ |
11℃ |
〜ネット発生 |
28℃以下 |
13℃ |
〜ネット完了 |
30℃以下 |
14℃ |
〜収穫
|
30℃以下
|
14℃
|
(6) 整枝 < 立栽培1ツル2果どり整枝 >
誘引は、展開葉7〜8枚でつる先の高さを揃えて誘引を 始める。展開葉5枚頃から側枝を取り除き草勢を抑える。
また、子葉もこの時期に除去し、主枝摘芯までに本葉 1〜3葉を順次摘葉する。主枝は25節で摘芯する。
12〜16節に3〜4果着果させ、良形2果を残し他は摘 果する。結果枝は、2節を残して摘芯する。
(7) 着果促進(交配バチ)
定植後、30〜35日で開花が始まるので、結果枝を観察 し開花2日前頃より搬入する。
(8) 摘果と雄花除去
鶏卵大の頃、大きさの揃った2果を残し、他の果は摘 果する(大小があると揃わない)。やゝ楕円形をしたも のを残す。また、摘果とともに雄花も早めに除去する。
(9) 玉つり
果実の直形が7〜8p位から玉つりを始める。結果枝 が着果節より下がらないように注意する。
展開葉10枚頃から主枝摘芯まで葉緑部に若干溢水が見 られる程度の水分を保つ。開花〜着果までは潅水しない。 果実が鶏卵大〜初期肥大が始まるまで、潅水を再開す るが、一度に少量ずつ、回数を多くする。
果径が7〜8pから硬化が始まるので、潅水を徐々に 控える。ただし、乾燥しやすいほ場は極少量の潅水を続 け、茎葉が固くならないように管理する。
(11)収穫の目安
(ア) 結果枝の葉が枯れる
(イ) 果皮が黄緑色に変わる
(ウ) ヘタの周囲が黄化
(エ) ヘタの周囲に離層(ヒビ)が入る
収穫は、果温が低い朝方に行う。収穫予定日の2〜3 日前に糖度検査を行い、15度を目標にする。
(12)病害虫防除
黒点根腐病が大きな問題となっている。
対策は、(ア)連作しない、(イ)作期を前進させ6月末ま でに収穫する、(ウ) 1果採りにより生育後半の根への負 担を軽くする、等が有効策である。
その他、県の病害虫雑草防除基準に準じて行う。
(13)主な生理障害(原因と対策)
@ 裂果
ネット発生始めと収穫直前に多い。表皮の硬化が強い 場合、土壌水分の急増による急激な肥大によって花痕部 近くが大きく開裂する。暗渠による排水対策など地下水 位の影響を少なくする。
A 扁平果
ネット発生始めまでの肥大を抑え、後半になって急激 に肥大させた場合に発生しやすい。
着果後から硬化期までの過乾燥に注意し、茎葉がかた くならないように水分管理する。
B 苦味果
昼間の温度が高く過乾燥や窒素過多による過繁茂状態 が続くと発生しやすい。
(松井 賢一)