は じ め に
 
 本県の野菜生産量を見ますと、キャベツ、ハクサイなどの秋冬野菜を中心に生産されていますが、市場等への販売額では、施設野菜の占める割合が非常に大きくなっています。
 施設の設置面積は漸増しており、特にパイプハウスなど、簡易施設での栽培が増加傾向にあります。
 近年では市町村、農協が行うレンタルハウス事業によって施設栽培を始める事例も見られます。農業後継者が少なくなっている現状では、熟年者を対象として新規栽培者を育成することも必要です。その点で、簡易施設での野菜栽培は有効だと考えられます。
 今回、昭和57年に発行された「野菜栽培基準(施設編)」を見直し、品目、作型を充実させ、全面改訂版を作成しました。 
 特に、本県農業試験場で開発された少量土壌培地耕を利用した、キュウリ、トマトおよびベンチアップイチゴの栽培技術を掲載しています。土壌消毒が不要になり、連作障害も軽減され、トマトでは接木を省略できます。
 また、ベンチアップ栽培では、かがみ姿勢が少なくなり、軽作業化をすすめる上で大いに期待できる技術です。
 これらの技術は、現在、産地で行われている栽培法を掲載しておりますが、今後も改良が続けられ、内容は時と共に変更されると思われます。新しい技術はその都度発信して行く予定です。
 この栽培指導指針は改良普及員と農業試験場研究員が執筆しました。栽培指導者を対象として編集したもので、専門的な表現も多くなっていますが、詳しく書ききれなかった部分については担当改良普及員や専門技術員に問い合わすなど、補って利用して頂きたいと思います。
 この指針を十分に活用され、本県野菜の振興を図っていただくことを期待します。
 
     平成10年3月
 
 
               農政水産部農産普及課長  中西 長嗣