しゅんぎく
1. 品種例 きわめ中葉春菊(株張り中葉種)
2. 目標収量 6,000 kg/1,000u(つみ取り3回として)
3. 栽培のポイント
☆適応薬剤が少ないため、耕種的防除による病害回避や害虫侵入防止に努める。
☆直播栽培だけでは収量が落ちるので、早めに切り上げ、移植栽培との体系化を図る。
4. 技術内容
(1) 種子の準備
@ 自家採種では、未熟粒が多く混入するので、風選などにより選別を行う。また、炭そ病軽減と休眠が終わっている点から古種子(3年程度)を用いる。
A 種子量は苗床 100uあたり 500ミリリットル を目安とする。
B 炭そ病予防のため、1昼夜水浸、水切り後に種子重量の 0.5%のベノミル・チウラム水和剤を種子粉衣する。
(2) 直播栽培
10月出荷は直播栽培を行う。ただし、高温期の栽培では心枯れ症状が発生しやすいことに留意する。。
本ぽの準備等は後述の移植栽培に準じて行い、条間12 〜15cmですじ播きする。間引き作業が必要であるので、一回の播種面積は 300uまでとし、5日程度の間隔で順次播種する。
播種量は 1.5リットル /1,000u
(3) 移植栽培
直播き栽培だけでは、後期の品質と収量が安定しないので、長期にわたって一定水準の品質と収量を確保するために、移植栽培を組み合わせる。
苗は早播き直播栽培の間引き株を利用してもよい。
@ 育苗床準備
(ア)排水良好地を選び、本ぽ1,000u当たり250uを目安とし、畝幅100〜120cm、高さ10cm程度にする。
(イ)育苗床施肥
1u当たり細粒868を 0.1 kg、苦土石灰 0.12kgを全面施用し、深耕する。
A 播種
適期は9月中〜下旬である。条間10cmで、播種機ですじ播きする。
播種面積は、定植が一人 100u/日が限度であるので3回に分ける。
B は種後の管理
(ア)間引き1回目は、本葉2葉までに密生部を間引く。
2回目は、本葉4枚頃、株間5cm間隔にする。
(イ)排水を良好にし、軟弱徒長させない。
(ウ)定植適期の目安は育苗期間30〜40日で本葉6枚である。
(4) 本ぽ準備
@ 施肥例 (kg/1,000u)
肥料名 |
成 分 |
基 肥 |
追肥1 |
追肥2 |
熟成堆肥 |
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3,000 |
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苦土消石灰 |
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120 |
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野菜有機S2等 |
8-7-8 |
200 |
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野菜有肥S4等
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14-3-10
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30
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30
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A 畝立て、栽植密度
畝立て後、グリーンマルチを掛ける。
条間、株間とも各15cm(33,000株/1,000u)とする。
畝の高さはほ場の乾湿を考慮する。
(5) 定植
本葉6枚時(遅くても7枚)に、良苗を1本植えする。
移植後は潅水を十分行う。
(6) 潅水
マルチ下に予め潅水チューブを配置し、畝の表面が白 く乾いたら,晴天日の午前中に行う。
(7) 追肥
1、2回目つみ取り終了時に施肥例を目安に施用する。
潅水チューブを使って液肥を施用してもよい。
(8) 病害虫防除
登録薬剤が少ないことから、耕種的防除を励行する。
マメハモグリバエ対策
生存期間は21日程度であるため、栽培前に施設サイドを目合い1mm以下の防虫資材で被覆してから耕起し、表面に残渣、雑草等が一切出ないようにし、3週間以上経過させる。
なお、サイド被覆は10月末まで行い、作業者の出入り以外は引き戸を開けないなど、厳密な管理で虫の侵入を防ぐ。
(9) 生理障害(心枯れ症状)
生長点付近の展開前の葉が褐変する症状。高温期のは種を避ければ、症状は軽減される。
(10) 収穫
@ 収穫作業
定植後約1ヵ月で主枝が収穫できる大きさとなる。
主枝は3〜5葉を残して摘芯収穫し、以後側枝(1次分枝、2次分枝)を伸ばし、約20cmの長さでつみ取り収穫を3回程度繰り返す。
つみ取り収穫したものは傷んだ葉、枯れ葉を取った後、長さを揃えて平束の形で袋詰めする。
A 袋詰め下敷きの利用
袋詰め作業においては、収穫物をスムーズに袋に入れることがむずかしい。そこで、滑りやすい厚手の材(使用済肥料袋等)を適当な大きさに切る。これで平束を包み袋入れを行うと、収穫物が袋に滑り込みやすくなり、作業効率があがる。
(山田 浩 )