尺 度 |
表面 D6 , D5 , D4 [ C6 , C5 ,
C4 , C3 , C2 , C1 ] D3 , D2
, D1
表面 DF6 , DF5 , DF4 [ CF6 , CF5 , CF4 , CF3
, CF2 , CF1 ] DF3 , DF2
, DF1
※ [ ] 内は滑尺 ずらし尺は12√10で分割.
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ああ、手に入って嬉しい(^^) HEMMIのNo.200です。
表面がC,D尺、裏面がCF,DF尺だけです。三角関数やLL尺はありません。
これは戦前モデルですが、いつもお世話になってるPaulRossさんのリストによると、1937年から1967年まで作られていたようです。昭和で言うと昭和12年から昭和42年までですね。
かなりの年代を感じる風貌ですが、あまり使い込まれたという感じではありません。さすがに常用するような物ではなかったのでしょうか?
上尺・下尺を留める金具のリベットが3本ですね。後年の物は2本止めだと聞いています。上尺・下尺がやや狭く・滑尺が広く作ってあります。20インチのHEMMI No.279と比べても全然違います。No.200だけのスペシャルでしょう。
この計算尺の特徴は、なんといってもたった4種類の尺がそれぞれ6分割されていると言うことでしょう。同じような構造はuniqueでも見られます。限られたスペースで精度を上げる工夫ですね。
上尺・下尺の左右に同じ場所に黒線でマークが打たれていて、中央には一本縦に線が入れられています。(写真ではちょうどカーソルの下です)左のマークから中央までちょうど200mm、中央から右のマークまでもちょうど200mmです。つまり400mmを基本として作られています。
D1尺は、この下尺左端のマークを1.00としてスタートし、D6は上尺右端のマークを10.0として終わっています。D1-D6の各尺は幾分かのオーバーレンジで刻まれていますが、これは誤読が生まれない程度の便宜を図っているもので、尺の全長とは関係ありません。ですから一周期の全長が400mm*6回の2,400mm分の尺です。
10インチや20インチとは違う規格なので、全くの一から作り上げたものですね。勉強不足なのでなぜ12√10.分割なのかもよくわかりません。とほほほ。
6分割なんてなことをしているのは、もちろん計算精度を上げるためです。たとえば10インチのHEMMI No.2664Sですと、1.00-2.00の間は、1/100刻みで目盛られていて、20インチのHEMMI No.279では1/200で、No.200では1/1000刻みです。
10インチ尺と比べると10倍の精度で計算できるわけです!!・・・・・・・というか、ここまでやってやっと一桁上の精度が出るわけですね。
計算の精度を上げるにも指数関数的な努力が必要なのですから、努力の割には報われないというか、かなりトホホですな。
出来るのはC,D尺を使った乗除算なんですが、答えがどの尺に出てくるのかすぐには見当が付きません。今のところ概算法で見当を付けていますが、もっと良い方法があるのかもしれません。目外れはCF,DF尺を使えばほぼ回避できます。
ケースの奥に「逸見式竹製ユニバーサル両面型計算尺ノ調整法ト取扱ヒ方」の紙が出てきました。ユニバーサル計算尺と呼んだ複数のモデルがあることは知っていましたが、No.200もこれに入るんですね。「logπ=0.4969」とメモされているのがいかにも精密用ですが、logπって0.4971・・・まぁ0.002くらい工作誤差のうちですが、何に使ったんでしょうね?
個人的にはvoolaさんに競り勝った記念すべき一品です。もちろんこれで体力を使い果たしました(*_*)トホホ
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